自閉スペクトラム症とうつ病で障害基礎年金2級を受給できたケース

ご相談者様女性(30代)・無職
傷病名自閉スペクトラム症、うつ病
決定した年金の種類と等級障害基礎年金2級
受給決定額年間約78万円
遡及支給額 約410万円(5年3か月分)

ご相談内容

少し前に職場で障害が原因で色々問題があり退職されており、「障害年金」の請求に関しご相談がありました。

お話をお伺いしますと、幼少の頃から遅れがあったり、周りと馴染めないなどで、ご両親が心配され非常に熱心に病院へ連れていかれたり、いろんな施設でご相談になるなどして、「発達障害」と診断を受けられており、その後も定期的に知能検査を受けられたり、その後「うつ病」も発症されたこともあり、現在に至るまで病院へも継続して通われて来ていました。

今回、「障害年金」請求のご相談を頂いた時に、幼少からの状態が今現在まで続いており、「障害認定日」(20歳)での「遡及請求」を考えたのですが、その後手続きを進める中で、これほど熱心に病院に通われていたにも関わらず、「障害認定日(遡及)請求」に必要な20歳到達日前後3か月以内の「診断書」が病院は有るもののカルテが廃棄されており、取得出来ないことが分かりました。

確かに、医師法でカルテの保存期間は5年なので、今回の場合10年以上前のカルテが廃棄されていても仕方がないのですが、それを個人の責任に負わせて、「障害年金」が請求出来ないなどということがあってよいのかといつも思います。

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その後、色々お客様とお話をしながら手続きを進める中で、下記の医証なら有ることが分かりました。
・20歳到達日の約9か月前の知能検査結果 
※ご両親が20歳以降の進路(就職)を考えられて、医療機関にご相談をされ検査を受けられており、10年以上前の検査結果が大切に保管をされていました。
合わせて、幼少期からの知能検査等の結果も大切に保管されていました。
・カルテが廃棄されていた病院からの転院先である今通われている病院の「初診日」が20歳到達日の約9か月後で、その「初診日」のカルテ

日本年金機構が定めている「20歳到達日前後3か月以内の診断書」は有りませんでしたが、何とか20歳到達日前後9か月の医証がそろいました。
そこで、この 20歳到達日9か月前の検査結果と9か月後の診断書で挟みこむことにより、20歳到達時点での状態が審査できると主張することとしました。


つぎに、まず20歳到達日の9か月後の現在の病院の「初診日」の「診断書」の作成を依頼をするときに、医師に9か月前(20歳到達時点)の状態(症状)が推測できるようであれば、その内容を記載頂くように依頼をしました。
結果、素晴らしい障害認定日(20歳到達日から9か月後)および現症(現在)の「診断書」を作成頂きました。

次に、大切に保管されていた幼少からの検査結果を読み返したところ、幼少の頃からの状態(症状)が先の20歳到達日以前9か月の検査時点までずっと継続していることが分かりました。
また、これの状態(症状)は今の状態(症状)とも同じでした。

すなわち、日本年金機構が求めている20歳到達日前後3か月以内の診断書は無いものの、これら20歳到達日前後9か月の検査結果と「診断書」で十分20歳到達時点での状態を審査できると判断出来ました。

そこで、「障害年金」の請求時に「診断書」の他に、これら大切に保管されていた検査結果も添付し、これら検査結果と「診断書」で20歳到達時点での状態を審査できると主張した補足資料も合わせて添付し、提出しました。

結果

障害認定日での「障害年金」が認定され(遡及請求が認められ)、5年分遡って障害基礎年金2級が支給決定されました。

支給金額遡及分(5年3か月)約410万円
年額約78万円

仕事を辞められ今後に不安をお持ちでしたので、今回「障害年金」の受給が決定し一安心されていました。
これから、今後のことをゆっくり考えていきたいとも言われていました。
我々も当初、20歳到達時点(障害認定日)での「診断書」が取れないと分かった時、「「遡及請求」は難しいかな」と一瞬諦めかけましたが、色々調べる中で今回の道が開けて、見事日本年金機構が求める「20歳到達日前後3か月の診断書」が無くても、遡及請求が認められました。
当センターのお約束の一つでもありますが、「絶対に諦めてはいけない」ということをあらためて思い知りました。