障害年金ってなに?
「障害年⾦」は、ご病気やおケガで日常生活にご不自由が有ったり、お仕事が思う様に出来ないなどで障害の状態になった場合に、請求できる公的年⾦です(他に老齢年金、遺族年金があります)。
障害年金には「障害基礎年金」「障害厚生年金」があり、病気やけがで初めて医師の診療を受けたとき(初診日)に国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。
「障害基礎年金」には障害等級が1級と2級があります。一方、「障害厚生年金」には1級と2級の他に3級も有り、より広くカバーされます。
なお、障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。
また、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」では年金額も違ってきます。
障害年金を受け取るには、年金の納付状況などの要件が設けられています。
一方で、この「障害年金」、残念ながらあまり知られていません。
ですから、ご病気やおケガで障害を負ってしまい、生活がご不自由になったり仕事が思う出来なくなっても、この「障害年金」にまでたどりつけずに、長年ご苦労をされて、大分経ってから何かの機会にこの「障害年金」を知って、「もっと早く障害年金を請求していれば」と言ったことや、請求が遅くなり既に65歳を過ぎて請求出来なかったり、最初に掛かった病院が既に無くなっていたりあるいはカルテが廃棄されてしまった結果、請求すら出来ないということが少なくありません。
みなさん、ぜひこの機会に請求のお手続きをお願い致します。
障害年金で受給できる年金額(令和6年度)
障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金の2つがあります。
「初診日」すなわちご病気やケガで一番最初に病院を受診した時に国民年金に加入されている方(自営業をされている方やその配偶者あるいは会社勤めされている方の配偶者の方の場合)には障害基礎年金が支給されます。
一方、「初診日」に厚生年金に加入されている方(会社勤めされたいる方)には障害厚生年金が支給されます。
なお、年金額は毎年法律に基づいて改定されます。
その結果、
その結果、昨年(令和5年度)は67歳以下の新規裁定者と68歳以上の既裁定者で年金額が違うということになった結果、令和6年度はさらに新規裁定者と既裁定者で2つの計3つに区分けされるということになりました。
非常に複雑になりますので、当センターのホームページでは、「68歳以下の方」と「69歳以上の方」という2つの区分で表現させて頂きます。
年金額としては、「68歳以下の方」、「69歳以上の方」いずれの場合も、令和5年度から2.7%の引き上げとなりました。
障害基礎年金(初診日に国民年金に加入していた場合)
障害基礎年金1級 | 68歳以下の方:1,020,000円+子の加算 |
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69歳以上の方:1,017,125円+子の加算 |
障害基礎年金2級 | 68歳以下の方:816,000円+子の加算 |
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69歳以上の方:813,700円+子の加算 |
68歳以下の方:昭和31年4月2日以降生まれの人
69歳以上の方:昭和31年4月1日以前生まれの人
※子の加算 | 1・2人目の子 | 各234,800円 |
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3人目以降の子 | 各78,300円 |
※18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子
たとえば
障害厚生年金(初診日に厚生年金に加入していた場合)
障害厚生年金1級 | (報酬比例の年金額)×1.25+配偶者の加給年金額 |
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障害厚生年金2級 | (報酬比例の年金額)+配偶者の加給年金額 |
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障害厚生年金3級 | (報酬比例の年金額) ※下記最低保証額有り |
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68歳以下の方:612,000円 69歳以上の方:610,300円 |
※1,2級の場合、障害基礎年金と同時に支給されます。
※68歳以下の方:昭和31年4月2日以降生まれの人
69歳以上の方:昭和31年4月1日以前生まれの人
※配偶者の加給年金額 | 1級・2級の場合のみ |
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各234,800円 |
※65歳未満の配偶者
※1.報酬比例部分の計算において、厚生年金期間が300月(25年)未満の場合は、300月 とみなして計算します。
※2.障害認定日の属する月後の被保険者期間は、年金の計算の基礎とはされません。
たとえば
障害年金の対象となる傷病
どのような傷病すなわち病気・ケガが対象になるかと言いますと、ここに例を載せていますが、ほとんどの傷病が対象になります。
ただ、これらの傷病に掛かっただけで「障害年金」を貰えるかというとそういう訳でなく、その症状、状態が障害年金の等級(基準)に該当しなければなりません。
眼 | 網膜色素変性症、緑内障、白内障、ブドウ膜炎、 糖尿病性網膜症、黄斑ジストロフィー など |
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聴覚・平行機能 そしゃく・嚥下・言語 | 平行機能、咀嚼嚥下、言語障害、感音性難聴、 メニエール病、失語症、喉頭全摘出 など |
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肢体 | ケガによる後遺症、上肢・下肢・体幹(脊柱)の障害、人工関節、人工骨頭、変形性股関節症、脳梗塞・脳出血等による片麻痺、関節リウマチ など |
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精神疾患 | うつ病、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症、発達障害(自閉症スペクトラム障害(ASD),注意欠陥・多動性障害(ADHD),学習障害(LD)など)、高次脳機能障害、知的障害、てんかん など |
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呼吸器 | 気管支喘息、慢性気管支炎、呼吸不全、じん肺 など |
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心臓 | 心筋梗塞、大動脈解離、慢性心不全、ペースメーカー装着、人工弁置換、人工血管挿入(ステント含む) など |
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腎臓・肝臓 | 慢性腎不全、ネフローゼ症候群、肝硬変、糖尿病、人工透析 など |
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血液 | 再生不良性貧血、溶血性貧血、白血病、HIV感染症 など |
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その他 | がん、人工肛門、慢性疲労症候群、線維筋痛症、コロナ後遺症、各種難病 |
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障害年金を受給するための要件
障害年金を受給するためには3つの要件(初診日要件・保険料納付要件・障害認定日要件)をクリアーする必要があります。
初診日要件
障害年金を請求する上で「初診日」は非常に重要で、それぞれ「初診日」が下記の期間にある必要があります。
【障害基礎年金】(初診日に国民年金に加入されていた方)
- 国民年金加入期間
- 20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間
【障害厚生年金】(初診日に厚生年金や共済年金に加入されていた方)
保険料納付要件
「初診日」の前に一定の条件以上の年金保険料を納めていることが必要で、次のいずれかの要件を満たしていなければなりません。
- 「初診日」の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間があるときは、その被保険者期間うち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が3分の2以上であること
- 「初診日」の前日において、初診日の属する月の前々月まで直近1年間に保険料の未納がないこと(ただし、令和8年3月31日までの特例で65歳未満にある「初診日」に限られます)
障害認定日要件
「障害認定日」において、障害の程度が定められた基準以上であること(すなわち、障害等級に該当している)ことが必要です。
この「障害の程度が定められた基準」としては、まず国民年金法施行令および厚生年金保険法施行令に定められた基準があり、さらに日本年金機構発出の「障害認定基準」に具体的に定められています。
障害年金の請求方法
「障害年金」の請求には4つの方法が有ります。
障害認定日請求(本来請求)
1つ目は「障害認定日請求」、「本来請求」とも呼ばれています。
ご病気やおケガで最初に病院を受診した日から1年6か月経過した日のことを「障害認定日」とよび、この時の状態で障害の程度を認定し、この日以降障害年金の請求が出来るようになり、この障害認定日の障害の状態が障害等級に該当しているときに請求するもので、原則「障害認定日」から1年以内に請求しなければなりません。
ただ、この障害認定日請求(本来請求)はあまり多くありません。
というのは、「障害年金とは何ですか?」のところでも説明しましたが、「障害年金」はあまり知られておらず、「障害年金」のことを知った時にはすでに障害認定日から何年も(1年以上)経ってしまっているというケースが多いからです。
事後重症請求
2つ目は「事後重症請求」です。
「障害認定日」には障害等級に該当していなかったが、その後その障害の程度が増進し、障害等級に該当するようになった時点での請求を「事後重症請求」と言います。
この「事後重症請求」は65歳に達する日の前日までに障害等級に該当し、その期間内に請求しなければなりません。
遡及請求
3つ目は「遡及請求」です。「障害認定日」に障害等級に該当していたが、障害年金を知らずに請求が1年以上遅れたような場合の請求です。
ただし、障害年金の時効は5年ですので、5年以上遅れた場合は、直近5年分しか遡及支給されません。
はじめて1級または2級による請求
最後は「はじめて1級または2級による請求」です、1級または2級に該当しない程度の障害の状態(既存障害)にある人が、新たに別の傷病により障害を負った場合、これらを併合して後発の傷病(基準傷病)の障害認定日以降65歳に達する日の前日までに障害等級に該当した場合の請求です。
ご相談~障害年金の請求手続きの流れ
「病歴・就労状況等申立書」は、「障害年金」を請求する傷病が発症してから現在までの治療の経過や就労の状況を3~5年に区切って書いていく、いわゆる自伝のようなものです。
「受診状況等証明書」や「診断書」だけでは表現できない、治療や就労の経緯、日常生活やお仕事でのご不自由をこの書類で表現することになります。
こちらも非常に重要な書類になりますので、お客様からお聞きした病歴を「病歴・就労状況等申立書」にまとめて作成し、お客様に内容をご確認いただきます。
請求に必要な書類が揃いましたら、これらの書類の整合性(病名、初診日、日常生活・仕事への影響など)を確認します。