統合失調症による精神の障害のお客様のご相談を伺いました

今日、以前脳梗塞による「高次脳機能障害」で「障害年金」の請求手続きのサポートをさせて頂いたお客様が利用されていた地域生活支援センターの施設長様のご紹介で、同じ社会福祉法人様が経営されている就労移行支援事業所の担当者様からご連絡を頂き、 社会福祉法人様 へお邪魔をさせて頂き、通所されているご相談者様からご相談頂きました。
ご相談へはご夫婦で参加されました。

お話をお聞きしますと、14年程前にご自分で「統合失調症」による精神の障害で障害年金を「障害認定日」における「遡及請求」をされ、遡及請求が認められ時効で消滅していない5年分の「障害年金」を遡って受給されたということでした。
一方、裁定請求時点に関しては不支給となったそうです。
すなわち、受給権は有るが、支給停止の状態であったということです。

その後、障害の状態が増進し、9年ほど前にこれもご自身で「支給停止事由消滅届」を提出され、これが認められ支給が再開されたそうですが、次の更新時に再度障害等級不該当で支給停止になり、昨年再度「支給停止事由消滅届」を提出したが認められず、「どうにかならないでしょうか?」ということでご相談を頂きました。

まず、今回「支給停止事由消滅届」と一緒に提出した「診断書」を拝見させて頂きました。
結果、一目見て、精神の障害用の「診断書」で最も重要な「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」の評価が非常に低く(日常生活でのご不自由が軽く)書かれており、これでは支給停止の解除は認められないと分かりました。

この「診断書」についてもお話をさせて頂き、この診断書の結果になった理由は次の2つが考えれらることも説明をさせて頂きました。
1.実際に「障害の程度」(日常生活でのご不自由具合)が軽い(障害等級に該当しな
  い)。
2.実際は障害の程度(日常生活でのご不自由具合)は増進し(重くなって)、障害等級 
  に該当しているが、医師にそれが上手く伝わっていない。

ということで、当センターで出来るサポートとしては、今の日常生活状況を詳しくお聞きして、医師へ再度「診断書」の作成依頼をするときに、お聞きした状況をまとめた資料をお渡し(お伝えし)、今の日常生活状況を正確に「診断書」に反映を頂く事と、今通所されている就労移行支援事業所での作業内容や周りからの援助の状況を「陳述書」という形で事業所の関係者に書いて頂き、診断書と合わせて提出することにより、就労での不自由さについても正しく審査頂けるようにするという2点であるということをご説明しました。
当センターにお任せ頂くとなると費用が発生しますので、一旦持ち帰って検討頂くこととしました。

【ポイント】(受給権の発生と消滅について)
「障害年金」の「受給権」は、次の通り発生します。
・「障害認定日請求」(「遡及請求」含む)・・・障害認定日
・「事後重症請求」・・・請求日
・「はじめて1級または2級による請求」・・・先発障害と基準障害(後発障害)を併合し
 て、はじめて1級または2級の障害の程度の障害の状態になった日
 ※ただし、「障害年金」の支給は請求月の翌月からです。
・「20歳前の傷病による障害基礎年金」請求・・・20歳に達した日または障害認定日のう
 ちいずれか遅い日

この「障害年金」の「受給権」は、今回のご相談のように障害の状態が軽くなり障害等級に該当しないとして支給停止されても、「障害年金」の「受給権」自体は消滅しません。
これも多くの方が支給停止になると「受給権」自体が消滅(無くなってしまった)と勘違いをされていますが、これは間違いです。

「障害年金」の「受給権」は次に該当したときのみ、消滅します。
1.受給権者が亡くなられたとき。
2.受給権者が前後の障害を併合した障害の程度による「障害年金」の「受給権」を取得し
  た場合、先発障害の「受給権」は消滅します。
3.障害等級の3級以上に該当しない受給権者が65歳に達したとき。  
  ただし、障害等級の3級以上に該当しなくなった日から起算して、障害等級の3級以上に
  該当しないまま、3年を経過していないときは除きます。
4.障害等級の3級以上に該当しなくなった日から起算して、障害等級の3級以上に該当し
  ないまま3年を経過したとき。  
  ただし、3年を経過した日に受給権者が65歳未満である時は除きます。