神経症と診断されています。神経症での障害年金の請求は出来ないと聞きましたが、本当に障害年金の請求は出来ないのでしょうか?

たしかに、「障害認定基準」には、つぎの様に書かれており、「神経症」(不安神経症、強迫性障害、解離性障害、社会不安障害、パニック障害、身体表現性障害などなど)は基本的に「障害年金」の対象外ということです。
「神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則 として、認定の対象とならない。」

ただし、「神経症」を「障害年金」の認定の対象外としていることに、法的な根拠は有りません。

では、なぜ「神経症」は「障害年金」に対象外とされているのでしょうか?精神病である統合失調症又は気分(感情)障害と何が違うのでしょうか?

「精神病」は内因性と言われ、脳内の神経伝達物質の異常などの内的要因に基づいて発生するとされており、一方「神経症」は心因性と言われ、ストレスなどの心理学的原因に基づいて発生するとされており、この心因性である「神経症」には自己治癒可能性(患者がその疾患を認識し、それに対応した対応を採ることが可能であること)と疾病利得(症状の発現やその症状が続くことによって引き起こされる患者本人が心理的あるいは現実的満足を得ること)が見られるということに起因しています。

一方、但し書きならびになお書きがあり、つぎのように書かれており、「精神病の病態」を示している場合は、精神病に準じて認定すると。
ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態 を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。
なお、認定に当たっては、精神病の病態がICD-10による病態区分のどの区分 に属す病態であるかを考慮し判断すること。

※「人格障害」に関しては、「障害認定基準」上このような例外規定も、認定の対象外とされています。

また、日本年金機構より診断書を作成する医師向けに出された通知「障害年金の診断書(精神の障害用)記載要領」内の⑬「備考」の部分には、つぎの様に書かれています。
①「障害の原因となった傷病名」欄に神経症圏(ICD-10 コードがF4)の傷病名を記入した場合であっても、「統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害」または「気分(感情)障害」の病態を示しているときは、その病態とICD-10 コードを記入してください。

簡単に説明しますと、「神経症」の傷病名が付けられていても、当然最終的には医師の判断によりますが、医師とよく話をし、上記「障害認定基準」の但し書きにあるように、症状の中に「精神病の病態」を示しているものはないか?有るようであれば、その症状を「診断書」に記載して貰うと同時に日本年金機構の指導の通り、「診断書」の⑬「備考」欄にその病態とICD-10 コードを記載してもらう様にします。(当然この作業も当センターでサポート致します)
※ICD-10コード:WHO(世界保健機関)が作成する疾患の分類で、精神の障害用「診断書」には傷病名と共にこのICD-10コードを記載することになっています。
神経症・・・F4
人格障害・・・F6
統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害・・・F2
気分(感情)障害・・・F3