30代男性 注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)およびうつ病による精神の障害で障害基礎年金2級を受給できたケース

ご相談者様男性(30代)
傷病名注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)およびうつ病
決定した年金の種類と等級障害基礎年金2級
受給決定額年間約83万円

ご相談内容

お話をお伺いしますと、このお客様、5年程前にご自分で「障害年金」の請求をされたのですが、不支給決定されたということでしたので、厚生労働省に前回請求時の請求書類および審査資料(認定調書)の開示請求をしていました。(約1か月、掛かります)

開示された資料を確認しますと、お母さまが作成された「病歴・就労状況等申立書」には、生来の特性に起因したと思われる、誕生から今現在までの日常生活や就労における各種問題が書かれていました。

しかし一方、「障害年金」の審査で最も重要視される「診断書」でその中でも最も重要な「日常生活能力の判定および程度」が実態に比べ非常に軽く評価されて(書かれて)いました。
残念ながらこれでは「2級は微妙だな」という請求書に仕上がっていました。

日本年金機構の審査を行う認定医の判断も、「病歴・就労状況等申立書」に書かれた誕生から今現在までの成育史,生活史を見る限り日常生活や就労に多くの支障があるのは十分理解できたのでしょうが、何せ審査の時最も重要視しないといけない「診断書」が軽く書かれており「2級不該当」とせざるを得ず、書かれていた審査理由は苦し紛れであることは明らかでした。

医師も患者さんの日常生活を全て把握している訳ではありませんし、医師にあまり心配を掛けたくないという患者さんの心理も働き、普段の診察での会話から日常生活を判断してしまい(例えば、医師が「ちゃんと食事を取っていますか?」という問いに、患者さんが実際はインスタント食品や出来合いの食事ばかり食べていても「はい、取っています」と答えてしまうと、医師は「食事は取れている」という判断をしてしまいます)、今回のお客様のように実態を反映していない軽い診断書に仕上がってしまい、結果不支給決定されるケースが少なからずあります。
当センターでも同様のケースで再請求のお手伝いをさせて頂いたことが数件ありますが(いずれも認定されています)、非常に残念なことです。

今回あらためてお話をお伺いしますと、幼児期いつも母親と離れるのが不安でいつも母親にくっついていて離れることができなかったそうです。
幼稚園でもいつも先生のエプロンにしがみついていました。
多くの友達の中にいるもの苦手で友達と遊んだりできず、友達はできませんでした。
結果、家で遊ぶことが多かったのですが、途中で遊ぶのをやめるように言われるなどしても聞き入れず、こだわりが強く自分の思い通りにならないと癇癪を起したり、周りに激しく当たったりしたそうです。

小学校も入学してしばらくは、親と離れるのが嫌で毎朝泣いて登校したそうです。
教室という閉鎖的な空間にいるのも苦手で馴染めず、友達とどう接したら良いか(何を話したらよいか)分からず、友達もできず孤立しました。
先生の言うことを聞けなかったり、偏食から給食を食べれないなど、先生から叱られることも多くなり、2年生になると学校に行けなくなってしまいました。
各方面に相談し、通級教室に通うなどし、一方で病院を受診されました。
小学校5年生の時に、学校に少しずつ行けるようになりましたが、クラスで授業を受けることはできず、いつも校庭などに1人でいたそうです。

中学校は特別支援学級に入りましたが、ここでも環境に馴染めず、1か月ほどで学校に行けなくなってしまいました。
その後、家に引きこもりましたが、その時興味本位で始めた動画配信で世界が広がり(色んなことが分かってきて)、2年生の後半から学校に行けるようになりました。

高校に入学しましたが、やはり周りの環境に馴染めず、友達もできず孤立し、休みがちになりました。
3年生の時に興味のあった音楽系の高校に転校し、卒業後も音楽系の専門学校に進み、自分で曲を作ったりしましたが、全く評価されず、友達もできないのでバンドも組めず、落ち込むなど、気分の浮き沈みが激しくなり、ますます周りから敬遠され、孤立しました。

学校卒業後、音楽活動も続けましたが、自分の思うようには上手くいきませんでした。
一方で、お金のためにアルバイトもしましたが、こだわりから仕事が遅い、マルチタスクができない、コミュニケーションが取れないなどで、どこも長続きしませんでした。

1年程前から就労継続支援A型事業所に通所し始めましたが、そこでも色々問題があり、今現在は休所し、家に引きこもっていらっしゃいました。

当センターのサポート

今回、当センターでは、不支給決定された時のようなことがないように、面談時にお客様から日常生活でのご不自由やお仕事での支障を詳しくお聞きし、医師に診断書の作成依頼をする時にお聞きした日常生活でのご不自由やお仕事での支障をまとめてお伝えし、実態を正しく反映した「診断書」を作成頂けるようにサポートしました。
また、他に「病歴・就労状況等申立書」や補足資料も使って、ご不自由が多く大変な状況であることを日本年金機構に理解頂けるようにサポートさせて頂きました。

当センターでは、ほとんどのお手続きにおいて、日本年金機構から提出を求められている書類以外に、時には写真などを使った補足資料等で通常の書類だけでは十分に説明できない「日常生活でのご不自由やお仕事での支障」をより具体的に説明し、日本年金機構に理解頂けるように工夫をしています。
手間のかかる作業ですが、確実に障害年金が認定されるように、労力を惜しまず、「出来ることは全てやる」ということを心掛けています。

結果

結果、「障害基礎年金2級」に認定されました。

受給決定額年額約83万円

今回、2度目の「障害年金」請求で、無事、障害基礎年金2級が受給決定し、大変喜んでいらっしゃいました。